top of page

​◎研究内容

​1.沿面放電プラズマを用いた新しい材料表面処理技術の開発

 従来の材料加工技術はフォトリソグラフィーなどのマスク形成・露光及び低圧プラズマ処理によって微細加工を実現していますが、前述システムは処理工程が多く煩雑である課題があります。また、低圧プラズマによる処理プロセスは真空機器などの高額が設備が必要です。それに対して、大気圧下で生成した低温プラズマは従来の低圧プロセスに比べて真空機器が不要かつ高密度のプラズマを生成可能など、多くの利点を有します。しかし、空間中の気体分子数の多い大気圧下では、プラズマが局在化してしまう問題があります。そこで本研究室では、大気圧下においてプラズマが局在化する欠点を逆に利用し、プラズマ処理したい領域にのみプラズマ生成可能な沿面放電プラズマ型材料表面処理装置を提案しました。本提案手法は、気体温度の低い大気圧非平衡プラズマを任意の領域にのみ簡易的に生成できる技術です。本技術を高効率太陽電池製造技術など、半導体加工技術や各種材料表面処理技術への応用を目指した研究を行っています。

​2.太陽光発電システムの汚損が出力に与える影響に関する研究

 太陽光発電設備は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を背景に事業用及び一般住宅用ともに急速に普及しています(図1)。急速に導入量が増加している太陽光発電において、今後は効率的に発電運用を行うための保守・運用技術の最適化が特に重要な課題となります。また、太陽光発電は設備を屋外に暴露する特性上、粉塵などの微粒子や鳥類の糞など様々な汚損を受けます(図2)。太陽電池カバーガラス(白板ガラス)材の汚損は発電出力の低下を引き起こす代表的な要因の1つであり、メンテナンスフリーとされている太陽光発電ですが、定期的な外的な汚損に対する対策が必要となる場面があります。なお、太陽光発電用白板ガラスは光透過率を向上させるため、表面に微細な凹凸が形成されています。加えて、シリカ系コーティング材などにより親水性を向上させることで自己洗浄効果の向上が図られています。しかし、乾燥状態では粉塵などの微小な粒子による汚損が発生します。加えて、部分的な重汚損領域(部分影)が発生した場合、汚損部の太陽電池セルが異常高温化するホットスポット現象が生じる恐れもあります。粉塵や鳥類の糞害などの外的汚損による発電出力の減少は太陽光発電の運用において避けられない問題であり、定期的な外的な汚損に対する対策が必要となります。

 本研究室では、太陽電池カバーガラスの汚損に対する発電電力量の低下の問題に着目し、カバーガラス材の各種汚損に対する光学的な特性の変化及び発電出力に与える影響を明らかにする研究を行っています。

​3.太陽光発電システムの雷被害低減に関する研究

 近年、急速に導入量が増加してする中、太陽光発電システムの故障事例も徐々に増加しています。その中でも、太陽光発電設備は太陽電池モジュールなどの発電設備を屋外に設置する特性上、雷に起因する外部過電圧による被害を受ける確率的可能性があります。雷に起因する太陽光発電設備の故障は、設備の損壊や火災による所有者の財産の喪失だけでなく、感電などの人身への危険や電力系統への波及事故など重大なリスクを抱えているにも関わらず、その故障機構は十分検討されていません。

 本研究室では太陽光発電システムが雷に曝された際に故障に至るまでの故障機構を解明することを目的として、雷故障太陽光システムのフィールド調査並びに雷過電圧及び過電流による太陽光発電システムの故障を模擬した破壊試験により太陽光発電システムの雷故障機構の解明に関する研究を行っています。

​4.太陽光発電システムの火災や損壊による感電事故低減に関する研究

 太陽光発電システムは住宅の屋根などに気軽に設置でき、太陽光さえあれば発電する便利な発電方法だと一般的には言われています。しかし、太陽光が照射されれば発電する特性上、システムや太陽電池パネルの一部が損壊したとしても太陽電池セルに異常がなければ発電をしてしまいます。したがって、太陽光発電設備が積載された住宅で火災が発生した場合は放水すると消防士などの感電事故の原因となり、不用意に放水できません。米国では既に消防士の感電事故防止のための安全システム(ラピッドシャットダウンシステム)の導入が義務付けられています。また、自然災害など何らかの理由で太陽光発電システムが損壊してしまうと、作業員や一般市民の感電事故の危険性があります。米国の義務化されたラピッドシャットダウンは火災時の消防士の電気安全を確保するためのものですが、自然災害の多い我が国では火災だでけなく、水害や風害にも対応できる安全システムの開発が求められます。

 また、現在実用化されているラピッドシャットダウンシステムにも誤動作によって故障・焼損する事例が発生しており、火災による安全対策装置として問題を抱えている製品もある

 そこで、本研究室では、現在実用化されているラピッドシャットダウンの不具合事例に基づき、既存のラピッドシャットダウンシステムの健全性の評価、ならびに安全性向上のための手法の提案に関する研究に取り組んでいます。

 また、既存のラピッドシャットダウンにおける欠点を改善し、さらに火災に限らず様々な災害に対応できる新しい太陽光発電システム感電防止装置の開発も行っています。

​ ※NEDO seeds紹介ページ:https://wakasapo.nedo.go.jp/seeds/seeds-4711/

​実験機器・装置など

図1.png
bottom of page